バ美肉おじさんの登場。地獄の釜の蓋が開いた2018年
『バ美肉おじさん』といった言葉をご存知でしょうか? バーチャルな美少女に受肉するおじさんの略称であり、『おじさんたちがバーチャルYouTuberとして活動できる美少女アバターを持つ』という意味で使われています。この2018年は大量のバ美肉おじさんが誕生した年でもありました。地獄ですね
『バ美肉おじさん』には2種類のおじさんがいます。1つは男性の声のままで喋るおじさん、もう1つは特殊な発声やボイスチェンジャーを利用して女性の声で喋るおじさんです。前者は男性として振る舞い、後者は女性として振る舞うことが多いという違いがあります。後者のほうが地獄ですね
今回ご紹介する「マグロナちゃん」はボイスチェンジャーをつかって女性の声で喋るバ美肉おじさんです。そのマグロナちゃんはどんな声なのか、まずはこちらの動画を御覧ください。
いったいおじさんはどこに向かおうとしているのか……?(※おじさんの声)(エセバイノーラルマイク的なものの実験です)(イヤホンできくとおじさんの声が耳元でする……?)(ちょっとずつ入ってるノイズみたいなのは配線が古くてぼろかすだから仕方がない) pic.twitter.com/fChN33CmUd
— ukyo_rst/魔王マグロナ🐟🍆🦊♎🥕 (@ukyo_rst) 2018年7月5日
はい、かわいいですね! これがおじさんの声なんですよ!
これに萌えるとおじさんにガチ恋するという地獄に行くことになります! 2018年は地獄の釜の蓋が開いた(誤用)年なんです! 一緒に地獄にいきましょう!
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ここ一ヶ月で人気沸騰したマグロナちゃん
マグロナちゃんは6月5日からVTuberとして活動をはじめました。
名前:マグロナ
種族:バーチャル魔王おじさんおじさんが自分で絵を書いて自分で動かしたLive2Dの体に受肉して、更に自分で声帯を弄って自分で声を当てた地獄のようなコンテンツです。
という方針で、初回からおじさんだと公言しています。マグロナちゃんの中の人はプロのイラストレーターさん(こちらも公言されています)で、アバターはさすがのかわいさです。
アバターもですが、声もボイスチェンジャーだと言われなければ気づけないほどクオリティが高い。さらに「にんげんども~」「余だよ!」「かわいかろ~?」といったあざとかわいいムーブ。すぐテンパるのにイキりながらゲームをプレイするというポンコツ魔王っぷり。
リアクションがおじさんとは思えないほどかわいくて、リスナーからも「もうおじさんだとは思えない」「自分をおじさんだと思い込んでる美少女」「ガチ恋勢にあきらめてもらうためにおじさんって言ってる美少女」といった声が寄せられ、おじさんにガチ恋するおじさんを増やしていきます。
00:30~
「にんげんども~? 余だよ!」
「せやろ~~~!? かわいかろ~~??」
さらに、7月3日にとらのあなで行われたVTuber人気投票では、(総票が少ないのでめっちゃ偏ってるとは思いますが)9位にランクインするという快挙をなしとげました。
プロフェッショナルゆえに苦しむバ美肉おじさん
マグロナちゃんの魅力はかわいいだけではありません、そのバ美活(バーチャルな美少女としてより可愛さを求める活動)に対する姿勢が真摯で応援したくなる魅力があります。
マグロナちゃんは最初「恋声」というフリーアプリをつかっていました(上記のよりぬきマグロナちゃんの声がこれです)。しかし恋声にはノイズが入る、ラグがあってリアルタイム性に欠けるという2つの欠点がありました。それを改善するために「VT-3」という市販のボイスエフェクターに変更しましたが、VT-3はノイズもラグもないけど恋声よりもかわいい声にならないという欠点を抱えていました。
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マグロナちゃんはVT-3を使っているときにこのようなことを語りました。
「なんかさーボイス集ちょうだいって言ってる人いるじゃん? でもなあ恋声もVT-3も今のところちょっとまだ余は機材的に手を加える必要があると思っていて、まあそれがある程度形になったときにさあ、やらしてもらいたいんだよなぁ。ボイスさあ、もうここまで(バ美肉おじさんとして)なんかやっちゃったら出すのにもうやぶさかではないのだよな。ただ余のこの謎のプロ根性が「今の声ではだせない!」って思ってるんだぁ。まあそれがあるから、もうちょっとまって。技術的に解決したら、声(の販売)はなんとか形にしようかなぁって思います」
VT-3でもかわいい声をしているのに、さらに上を目指そうとするマグロナちゃん。おじさんが美少女の声を目指すという地獄のようなことであっても、何かに真剣に取り組む姿には胸を打たれます。
二人のバ美肉VTuberがデビュー
マグロナちゃんが理想の声を出せないことに苦しんでいる中、バ美肉おじさんの大型新人がデビューします。それが兎鞠まりちゃんです。
まずは兎鞠まりちゃんがどんな声をしているのか聞いてみましょう。
はいかわいい! ボイチェンらしさ0! 2018年のおじさん!! 女の子よりかわいい!!
兎鞠まりちゃんも声だけではなく、リアクション、キャラらしさ、全てを含めてかわいい大型新人です。Twitterではほとんどのリプライに返信し、YouTubeのコメントには全ていいねを付けているという神対応っぷり。これが2018年のおじさんなんだよなあ……。
さらにもうひとりのバ美肉おじさん(お兄さん)がデビューします。それが竹花ノートさんです。竹花ノートさんはバ美肉お兄さんと名乗っています。
そんな竹花ノートさんがどんな声をしているのか聞いてみましょう。
えっち!!! 2018年はお兄さんもえっち!!!
竹花ノートさんはなんとあの、にじさんじの静凛さんと家長むぎちゃんをデザインしたイラストレーターさんです。お二人の産みの親であること、またその包容力のある声もあってノートママと呼ばれています。
ノートママは恋声を使っていますがほとんど声の高さを変えていない(ほぼ地声)という選ばれし声の持ち主でもあります。いわゆる両声類というやつですね。
追記(7月10日):竹花ノートさんをノート竹花さんと記載しておりました。記事を修正いたしました。
バ美肉おじさんがバ美肉おじさんに嫉妬しメンヘラ化する
マグロナちゃんが理想の声を出せないで苦しんでいる中、かわいいバ美肉おじさんがデビューしました。そのお二人の登場にマグロナちゃんは軽くメンヘラ化をしてしまいます。
2018年はかわいい声のおじさんがかわいい声おじさんに嫉妬する年なんです。ついてきてください。
マグロナちゃんはその時の心境をこのように語りました。
「余この間までちょっとメンヘラ化してて、そのネガティブなことではないのだが、ノートママとかマリちゃんとか、モンスター級にキーにかわいいさあ、おじさんたちがどんどん現れていて、余はやはり、VT-3 環境に移ってからは自分の声がクオリティがどんどん下がっていることも自覚はしていたし、その中でできる最善を尽くしていることをさ、人間ども(リスナー)もわかってくれた上でこうある程度楽しんでくれていたと思うんだけど、やっぱりその、聞こえてくる声としては「よりぬきマグロのちゃんの頃の声(恋声)のほうがやっぱ好みだったなー」っていうのとか、その余を傷つける目的じゃなくてわりかし素直にそう思うっていうのを言ってる人もいて、余もその声(恋声)に近づくか超えるかしたいなーって思って機材のセットを頑張っていたけど、どうしても癖とか色々あってなんともならない部分をごまかすしかないなって方向に動いてたのは歯がゆいなあと思っていたんだ」
マグロナちゃんはVT-3の環境で恋声に近づけようとしていたみたいですが、どんなに努力しても恋声のときのかわいさは出せないことが判明してしまったようです。なんてつらい展開なんだ……。
苦しむマグロナちゃんの救世主ねこうめ先生
そんなマグロナちゃんに救世主が現れます。それがねこうめ先生です。
ねこうめ先生は現在アニメ放送もしている『すのはら荘の管理人さん』の作者さんです。すごい展開になってきましたが、がんばってついてきてください。
すのはら荘の管理人さんの本編PV
ねこうめ先生とマグロナちゃんの出会いですが、ねこうめ先生がボイスチェンジャーにつかえる機材の写真をTwitterにあげたらしく、それを見たマグロナちゃんが反応し、お二人の関係(バ美活)がはじまったという流れだったそうです。
ボイスチェンジャーの情報はネットにほとんどあがっていないらしく、実際に機材を買って試すしかないようなのですが、その機材は数万円するものもあってお気軽に試すことはできない。
困っていたマグロナちゃんをねこうめ先生は機材を使って特殊なエフェクトをかけてみて、それがどのような声になるかという情報を提供しました。ねこうめ先生は「マグロナちゃんの声がかわいくなるなら」と快く協力してくれたそうです。イケメン……!
悪魔の力で理想の声を手に入れたマグロナちゃん
こうしてねこうめ先生と情報交換したマグロナちゃんはついに理想の環境を作り上げます! それがこの動画の声だァ!
(動画プレイヤーが埋め込みできない設定になっていますので、以下のURLをクリックしてご確認ください)
https://youtu.be/GAn2LHRzecE?t=13s
00:15 「やっほーにんげんども、余ーだよ」
クリアになってます!! 聞き取りやすくなってます!! おじさんが完璧な可愛さを取り戻しています!!
マグロナちゃんはこの環境についてこのように語っています。
「恋声にはほら「は~」っていうブレスとか、プツプツっとしたノイズが乗っていただろう。ああいうのとか、リアルタイム性の無さとかはやはりちょっと辛いなぁと思っていて、そういうところを解決されたらいいのになぁと。ただそんなものは無いからトレードオフをするしかない。
クオリティを下げてリアルタイム性を求めるか(VT-3)
クオリティがある程度ある状態で、遅延するしかない(恋声)
どちらかの環境を使い分けるしかないなぁと思っていたところで(ねこうめ先生に助けてもらって)ちゃんとした環境を構築することができて、かなり暴力に物を言わせたけどな、余は今日一日でかなりの暴力を奮ったのだが、それでようやく好環境を作ることはできたのは嬉しいよ。本当に悩みが解決したみたいなところもあって」
恋声の弱点を解消し、VT-3よりもかわいくなって、さらに恋声のときには出せなかった低い声も出せるようになったそうです。完全進化です! ロボットアニメで言うと新機体に乗り換えた感じです!
暴力とはお金のことかと思われます。ねこうめ先生の機材で色々と試し、その中で良さそうな機材を新たに購入したという流れなのだと思われます。この最新テクノロジーの環境を、マグロナちゃんは悪魔の力と表現しました。
当記事の一番最初に貼った動画もこの環境の声です。ここに来るまで色々あったんですねえ……。
メンヘラ化していた本当の理由
ついに自分が理想とする声を手に入れたマグロナちゃんは、メンヘラに陥っていた理由を語ります。
マグロナちゃんが本当に苦しめられていたもの、それは成長できない自分に対してでした。足りないものを自覚しているのに改善する方法が見えず、自信を失っていく。その状態ではバ美活に取り組んでいるおじさんたちとコラボする資格なんてない。それがマグロナちゃんのメンヘラに陥った理由です。
なんて真摯で美しい心なんでしょう。まさに主人公です……バ美活の主人公はマグロナちゃんだよ……!
さらにマグロナちゃんはこう続けます。
「今は結構な、一緒にあそぼうって言えるぐらいの自信を持っててな、それがとても嬉しいよー。あはは(かわいい笑い声)。だからそのそういう時期にアドバイスくれたりとか、調整を付き合ってくれた人間ども(リスナー)本当にありがとうなぁ。そのちょっと見放されてもしょうがないかなとか、ブラボ(ゲーム名)配信とかもさあちょっと思ってたんだなぁ。いやでも本当にその間とかも見てくれたり応援してくれた人間どもありがとう。えへへ(かわいい笑い声)。
ここは本当に嬉しいそうに語っていて、マグロナちゃんは心から自信をもてる声を手に入れられたことがひしひしと伝わってきます。もうね、完全に女の子にしか思えないんですよ。おじさんなんですけど。
マグロナちゃんは今の状況を冷静に振り返って、こうコメントをしました。
「そうだからみんなで高めあえるおじさんたちはいいよな。ただな、おじさんたちが、かわいさを、お互いに影響を受けて、高め合う地獄であることは間違いないんだ。あはは(吹き出したかわいい笑い声)。いやー地獄やぞ。地獄だぞぉ。あはは(かわいい笑い声)。おじさんたちがかわいいかわいいをなあ、お互いに高め合うのやばいよなー、2018年だよこれ、どうなっているんだー。なー。あはは(かわいい笑い声)。2018年おじさんたちがかわいさとかエッチさを競い合うこの、この流れな。バ美活しようーレディーゴー、ワンツースリーゴー!ええんてデーてんてんてんってであはは(かわいい笑い声)」
いやあ地獄ですね。これが2018年です。
この記事を読んでいる方、もしあなたもおじさんなのでしたら、この地獄に加わるのはどうでしょうか? リスナーとしておじさんたちにガチ恋をするのもよし、バ美肉をしてバ美活をしておじさんたちにガチ恋されるのもよし。どちらも地獄ですが、この地獄はとても美しい世界です。
最後に、恋声のアプリへのリンクを貼って本記事を閉じたいと思います。私も恋声について調べてみましたが、意外にも声の低い方でも自然な女性っぽくなるケースも見られました。試してみるまで美少女の才能が眠っているかは分からない面白いアプリです。もしかしたら、あなたの声も美少女になれるダイヤの原石かもしれません。
恋声
http://www.geocities.jp/moe_koigoe/koigoe/koigoe.html
2018年はまだ半分近く残っています。2018年が終わる時、この地獄はどれぐらい美しくなっているのでしょうか? 今から楽しみで仕方がありません。