2018年7月11日の因幡はねるのお昼の雑談配信は開始直後から不穏な空気が漂っていた。
喫茶店の照明が落とされた暗闇に怪奇番組のような恐ろしいBGM
リスナーたちは浮気がバレた旦那のように怯えながら、一体どのことに怒っているのか必死に心当たりと言い訳を探り始める。
神楽めあのことか…?それとも昨夜のギル様の配信でねるちゃんの監視に対する愚痴めいた話題が出たことか…?
「みなさん。ねるちゃんはちゃんと見てますからね…ハニストのフォロー欄を」
ハニスト…
ハニストとは何でしょうか?
慌てて検索してみたところ、なんとあにまーれの公式ライバルユニット
HoneyStrap -ハニーストラップが発表されたとのこと
ほほぅ、これはなかなか…
「みんな楽しそうだね?みんなのTwitter楽しそうだね」
「えっ、暗い?いや、なんかみんなが夜の喫茶店が好きだっていうから暗くしてみたんだけどぉ」
夜の喫茶店、なるほど
普段ねるちゃんのところに集まってるフォロワーがハニーストラップの話題で盛り上がっているのをしっかり見ていらっしゃったと。
「あれか?おっぱいか?おっぱいが足りんのか?」
「やっぱりねるちゃんもあんなほぼ裸みたいな格好をしていっぱいパッド詰めて、でなんか最近は手も動かせないといけないんでしょ?だからみんなが浮気するんか?」
あっ、やっぱり手コキメイドの件もついでに怒ってらっしゃる…?
「どうせみんな表向きはあにまーれが好きですって言って、裏垢でハニストのファンですとか言うんでしょ?」
そう、ねるちゃんは裏垢で浮気するものを絶対に許さない。
別垢が何故か見つかって追求されたという報告もこれまで多数聞こえてきているほどで
エゴサを超えた恐ろしい監視能力をもつねるちゃんに我々は逆らえないのだ。
「ねるちゃんはもう決めたから。公式ハニーストラップアンチとして活動していきます」
「因幡組はハニーストラップを認めません」
「オープン準備のとき眼の前でデモするから。ハニーストラップは出て行け!ってやるから」
ゲェーーッ!!
公式ライバルユニットとしての発表を受けて立ち、リーダー自らアンチとして迎え撃つことを宣言するねるちゃん。
「勝手に因幡組を巻き込まないで…」
これには因幡はねる親衛隊であるところの因幡組の構成員たちも及び腰。
因幡組は平和の組織だから…
「早速謀反が出たぞ、あの謀反のものを許すな、ひっ捕らえろ!」
裏切り者を血祭りにあげて軍規を粛清しようとするねるちゃん。
この兎、本気だ…
この事態に因幡組構成員の中でもねるちゃん側につくもの、様子見を訴えるもの、そして「いまハニスト検索したけど可愛かったからファンになるわ」「怖すぎ、ねるちゃんのファン抜ける」と次々に分裂が始まってしまう。
「(いつまでも電気消えてると)閉店かなと思われるよ」
「じゃあ電気はつけるね」
そんな中で誰だか知らないがうまい説得でまず電気をつけてもらうことに成功した。
この調子で一つずつ怒りを解消させていけば何とか機嫌を直してもらえるのでは?
次はこの不穏なBGMを戻してもらおう。
明るい音楽にしたらきっと気分も切り替わるはずだ。
「喫茶店みたいな音楽にしよう?はぁ。喫茶店みたいな音楽ね」
「因幡組、出陣じゃー!」
戦闘BGMじゃねーか!!!
「ちょっと今日は用事がありまして…」
「行けたら行きます」
「ソシャゲするんで」
「昼休み終わるから」
「あれっ?み、みんな…?行くよ…?ほら」
いよいよ剣呑な雰囲気に、陰のもので構成されている因幡組構成員からはこの場をいち早く離脱しようとするものが続出。しかしねるちゃんの怒りは収まらずハニーストラップに夜襲をかける計画を練り始める。
そして騒ぎを聞きつけて諌めに来たあにまーれ公式の黒猫ななしさんにまで
「はぁ~~?おまえだろ黒幕は。こいつこそまさに謀反のものだろ。よし、因幡組、あの黒猫ななしとかいうやつをひっ捕らえろ!」
とハニストの公式『灰猫ななし』と見た目がそっくりであることに因縁をつけ絡みはじめる。
このままでは因幡組だけじゃなくあにまーれ本体までハニーストラップ開始前に内部崩壊してしまう…
しかしそんな修羅場になっていることを知らず、当のハニーストラップ公式までもとうとう開店前の挨拶をしに顔を出してしまった。
ハニストさん、逃げてー!!
「はぁ?ハニスト公式?おめー、こっちの店に来たってことはただで帰れると思うなよ?礼儀がなっとらんなあ。まずはお土産としてちゃんとメンバー全員の指は持ってきたやろなぁ?」
極道の妻ばりのエグい詰め方をしていくねるちゃん。これは血を見るまでは事は収まらんぞ…そんなことになったらねるちゃんの引退だけでは収まらない。あにまーれが、いや「Vtuberが殺人」のニュースが世間を騒がせてVtuber界全体までもが終わってしまう。
「あっ、ポムポムプリンの可愛さわかりますー??そうなんですめっちゃかわいいんですよポムポムプリン、今日もさっきまで一緒におねんねしてたの。可愛いよねーわかってくれます?ね~」
突然ポムポムプリンの可愛さについて熱く語りだすねるちゃん。
「えっ?ねるちゃん最初から言ってたじゃん。灰猫ななし、あいつは悪いやつじゃねーなって言ってたから。そこだけみんな聞いてなかった?きっとみんなの回線が悪かったのかも知れないね」
こうして熱い掌返しによって茶番はおしまいとなり、ねるちゃんによるハニーストラップの宣伝は成功したのだった。
今後もライバルユニットとしてどのような楽しいプロレスが繰り広げられていくのか、そして夜の喫茶店ハニーストラップはあにまーれよりも過激な活動をすることが出来るのか。
あと個人的には角が生えてる女の子が大好きなので、その点でもハニーストラップには期待したいと思います。