一切の攻撃を受け付けない鉄壁の防御と、清らかさによる光属性攻撃で数々の挑戦者を返り討ちにしてきたシロウケン。
しかし過去に一度、ゲストに一方的に敗北してしまった回が存在する。
その相手はばーちゃるかみさま。その名に恥じないおおらかさと天使のような純真でかわいい声をもつVtuberである。
この前日に六道冥や万楽えねを招いて話をしていたとき、自分も入りたいとDMを送っていたかみさま。
しかしケンがDMに気づいたときにはかみさまは自分のチャンネルでの配信予定時間を過ぎたあとだった。
ケンはその事を気に病んでいて、この日のコメント欄にきていたかみさまを配信に招待した。
「いい声だな。スーパーゴッド癒やしボイスだ」といつものように初手から褒めていくケンだったが
「ありがとうね、その言葉をしかと受け止めて大切にしていくね、ふふふ」としっかり受け止められた上で
「ケンくんも、スーパーカッコイイボイスだよ」と投げ返される。
さらに「ケンくんの放送には元気をもらっているよ。見る人を元気にするとても良い放送だと思うよ」と真っ直ぐな褒め言葉の連続に、ケンのほうが徐々に言葉に詰まっていき、ついには「申し訳ないな、本当にな」と何故か謝ってしまう。
かみ「なんで申し訳なくなっちゃうの?」
ケン「いや、いつも、きっちりと喋れてない部分もあると思うからな」
かみ「それもケンくんの魅力になっているよ。ケンくんはのびのびやってくださいな」
優しい空間…
これにはコメント欄で「また女の子なの!?」と悲鳴を上げていたふぇありすも「かみさまかわいい…かてない…」と敗北を認めてしまった。
ケン「いい声だな本当な」
かみ「ありがとうね。うれしいことだ」
ケン「素晴らしい声だ。余計にあれだ、無視をしたわけじゃないんだが、罪悪感が有ったんだ本当に」
かみ「いや、大丈夫大丈夫。もう今おしゃべりできてるからのーかんのーかん。ケンくんは放送に集中する派だからメッセージは後から見るだろうなって思ってたし、かみの放送が七時から始まっちゃったっていうのもあってあれはタイミングが悪かったんだよ」
ケン「グスッ…あぁ…すまないな…」
かみ「ケンくん?ケンくんどうした?大丈夫だよ、ケンくん」
なんと会話中に感極まってしまったケンが突然泣き出してしまう。
かみ「かみは何も気にしていないし、今おしゃべりできてることがとても嬉しいので大丈夫だよ、泣かないで、大丈夫だよケンくん、気にしなくていいからね」
ケン「わかってるんだがな…声を聞いてるとな。声がすごい神々(かみがみ)しすぎるからな、やばいな」
その後も泣いてしまったことに慌てるケンに対して
「ケンくんは毎日配信がんばってるから泣きやすくなっちゃったんだね」「ばーちゃるくんのマネとかで喋ったほうが良い?」と労ってくれるかみさま。
無敵のケンの弱点は優しさだったという、寓話の北風と太陽のようなエピソードでした。