バ美肉おじさんとして今話題の魔王マグロナちゃんが、VTuberとして活動していくにあたっての方針などを語る「政見放送」を行いました。
この配信が、コンテンツ制作に関わる人、あるいは消費者にとっても必見の内容と話題となっています。
マグロナちゃんのこの放送、なんか作って活動してる人はマジ全員見たほうがいい。著作権とかクリエイターとお金の話とかスケベエッチの話とか超重要な事言ってる。
20000(+2000)人ありがとな〜 https://t.co/Kft4Xye6bS @YouTubeさんから
— 伊東ライフ♥コミケ1日目シ64b (@itolife) 2018年7月16日
本記事では2時間に渡る配信を抜粋して要約します。
併せて文字起こし版(約1万5千字)も用意しましたので、より詳しく知りたい方はそちらを、もっと余裕の有る方は是非元動画をご覧ください。
マグロナちゃんってどんな人?
web:http://ume-project.jp/
Twitter:https://twitter.com/ukyo_rst
ukyo_rst名義で活動するイラストレーター
東方ジャンルでの同人作家、あるいはニコニコ生放送でゲーム実況を中心とした配信者としても活動しており
2018年6月、バ美肉ブームを受けてオリジナルキャラクター「魔王マグロナ」を作成しVTuberとしての活動を開始。現在は可愛い肉体に相応しい美少女としてのムーブを極めるため、声帯訓練を始めとしたバーチャル美少女活動(バ美活)に励んでいる。
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マグロナちゃん政見放送
マグロナちゃんはチャンネル登録者2万2千人突破を記念して
VTuberとして活動していくにあたって、またゲーム実況配信をやっていくことに関して二次創作と著作権についての考え(宗教観)を語りました。
二次創作(同人誌)は著作権的にグレーであるという解釈について
グレーイコール大なり小なり犯罪ではないのかっていうことをよく言われるのだが、その人は著作権についてちょっと間違ってしまっているのだよな。
著作権というのは基本的に親告罪と言われていて、権利者が相手を告発して初めて罪になるっていうちょっと特殊な形態をとっているのだよな。
これが何なのかというとわかりやすく言ってしまえば権利者が一番偉いって法律が保証してくれたっていう状態なんだ。
法律が全部決めてしまうと、例えば権利持ってる人が君は使っていいよって思っているのに、法律が駄目ってなると警察は捕まえなきゃいけないっていうへんてこな法律になってしまうんだ。
もしガッチガチに縛られて権利者がどう言おうが一律でダメみたいな法律にしてしまうと、ファンアートも書けないし、広告宣伝とかもできないし、厳密に言うと友達に「この漫画面白いぜ」って漫画の表紙をちらっと見せるのですら怒られてしまうってなるとそれはコンテンツ業界にとってもよくないことだろう。
だから君が嫌だと思ったものは殴ればいい、そうじゃないことを見逃す権利もあなたに与えるって
自分の裁量で人をぶん殴っていいよって保証してくれてる権利っていうのが著作権っていうものなのだ。
二次創作をするスタンスで大事なものはリスペクトと、公式が得られるべき利益を侵害しないこと
マグロナちゃんは二次創作を「権利者にスイッチひとつで自分を爆殺できる自爆ボタンを預けた上でやらせていただくこと」と例えました。
リスペクトした上での活動なら基本的には権利者にとっても嬉しいもの
本当にこの作品が大好きで
このキャラクターの先が見たい
そのキャラクターの if が見たい
そういうのを創作していきたいっていうのとか
自分でイラストを書きたい他の人にもっと見てもらいたい
この作品を好きになってもらいたい広めたいみたいな
そういう気持ちを持って活動をしている限りは基本的には相手も自爆ボタンを押さないんだよな。
余も権利側に回ったこともあるから思うのだが、そういう善意の活動ってありがたいことなんだよな。
予算も組んでないのに勝手に広報して頂けているっていう商業的に考えてもありがたいし、自分たちの出したコンテンツをそれだけ好きでいてくれる方が、さらに周りにまで教えようみたいなことを思ってくれてる有難い人がいるって言うのは
こんなもんはクリエーター冥利に尽きるということで精神的に見ても商業的に見ても、どう考えたってその人の自爆ボタンを押す事ってないだろう。
これをグレーって呼ぶのはちょっとその表現的には…
グレーって言うと少し黒混じってるじゃんちょっと犯罪なんだろうって思う人もいるのだが、グレーてのは要はシュレディンガーの猫といっしょで
相手がナタを振るうまでは命はあるっていう状態で、ただいつ殺されても文句は言わないって選択を相手に預けている状態がいわゆるグレーって状態なんだな。
利益を侵害しないものなら許容されやすい
著作権は権利者の利益をとにかく保護するものなんだ。
さっき言ったみたいに win-win の関係である二次利用がこの世には存在していてそれを奪わないためにもその権利者に強力な権利が与えられている、自由が与えられているっていう存在なのだ。
同人誌とかはあまり問題になりにくいのだがやはり問題になるのがグッズなんだよな。
なぜかというと例えばコンテンツを出す時に純粋に作品のお金だけでそのコンテンツが回ってるわけではないんだ。
クリエイターやそれに関わる人々も霞を食べて生きてるわけじゃないし。
ファングッズはある種のお布施というか
あなたたちの活動を応援していますよっていうファンからの気持ちでお金をいただいて活動が続けられてファンも嬉しいっていう、コンテンツがお金によって回るっていうのはそういう仕組みなんだ。
ここでやっぱ問題になるのが、(ファンが作る二次創作の)グッズって企業の権利とかち合ってしまうことがあるんだよな。
同人誌が問題になりづらいのは公式は同人誌作らないだろう?
同人誌というのは公式と被りづらい、それで裾野や他のファンが広がっていくというので許容されやすいんだよなぁ。
公式をリスペクトしていること、利益を侵害しないこと、この2つをしっかり守っていれば基本的に公式と二次創作はwin-winの関係でいられるという解釈を語りました。
その考えに基づいて、YouTubeでゲーム実況をしていくにあたって、本来購入するかも知れないプレイヤーを奪ってしまう可能性が少ない、むしろ内容を知ってしまっても追体験したくなるゲームに絞って配信し、またそれは収益化の対象にしないというスタンスをとることを説明しました。
クリエイターへ直接支援できるシステム
(漫画の場合)今、応援したいのに単行本を10冊とか買うような行動でしか直で応援できないだろ。
この漫画1巻だけ見て超面白いと思ったんだけど全然 twitter でバズらないし、めっちゃ好きなんだけど、めっちゃ応援したいし…
余にいまスパチャで普通に1000円2000円単位で投げてくれる人間どもとてもたくさんいるだろう。
もちろんそれより100円とかで投げてくれる人間どもの気持ちもすごく大事で
余が理想としている世界は、1万人くらいがこの人の絵好きって思ってその人にポンって100円あげるって言ったらその素晴らしい絵を作った人は100万円得ることができる。
こんなシステムあったらさ、とても理想的だろ。
同人関係はようやくそういうところが多少まともになってきて、BOOTHでブーストしたり、ファンボックスの開設が世間に受け入れられたりして、
この人の同人活動の作品が好きでもっと先が見たい、この人商業に行けそうなんだけどバイトとかして大変そうだ、もっと原稿を書いてもらいたいって人のファンボックスに入って購読したりとか
やっとそういうのができるようになってきたんだ。
ただ雑誌とかの作家さんとかに対してまだこのシステムが全然ないんだよなぁ。
これは強い言葉を使うと本当に業界の怠慢だと考えている。
本当の理想はやはり出版社とかがもっと積極的になってこういう直接支援みたいなスキームをYouTube や kindle 任せのものにするんじゃなくて、出版社の人たちが、我々が責任を持って作家さんに直接お金を届ける仕組みを作りましたぐらいのことをやらなきゃいけないだろう。なあ
YouTube もアマゾンも外資やんけ
なあ、角◯くんに言ってるんだぞ余は
もちろん角◯くんだけではなくて大手出版社の方々にもやはりそれは思っておるのだが
雑誌形態をとっているそれこそ週刊少年ジャンプとかがさ、率先してもう作品の巻末にQRコード貼ってさ、それがもうPayPalの口座になってるとかさ、それぐらいのことをしてほしいんだ本来は。
本当にこれだけ沢山のクリエイターがいるのに日本マジで後進国だぞそのあたり。
VTuberになった理由
もし今の余がキズナアイちゃんぐらいの業界の筆頭で、抱える人も100万人レベル、余がちょっと発言すれば最低でもツイッターで50万人ぐらいが目にしてくれるぐらいの存在になっていたらさ
そこでこのコンテンツの現場はおかしいみたいな声をあげたらちゃんと聴いていただけると思うんだよな。
職業柄、編集者と話をする機会が多いらしいukyoさんは、マグロナちゃんとしての活動を始めて以降、明らかに以前より興味を持ってもらえて、業界に対する問題提起を真剣に聞いてもらえたり、力になれることがあったら一緒にやっていきましょうという言葉を受け取る事が増えたそうです。
そのように発言力を得ることと併せて、YouTubeというクリエイターと支援者が直接つながる仕組みが既にある場に出て、作家が自分自身をコンテンツとして収益を出して活動を拡大していく、そういうロールモデルの先例となれば業界を変えるきっかけになるかもしれないと考え、収益化やコミュニティを大きくすることに積極的になっているとのこと。
コンテンツの未来へ
余はそういう風にコンテンツを回すということを人間どもに見て頂きたいんだ。
コンテンツを回すっていうのはどういうことかっていうのを余を通じて見て頂きたい。
それを通してコンテンツを支えるということはどういうことなのか
今後のコンテンツを支えるっていうのはどういうことなのかっていうのをみんなで模索していきたいんだ。
得られた収益は、3DモデルやVR環境の構築など、マグロナちゃんというキャラクター、そしてそれを演じるukyoさんの成長のために投資する。あるいは動画を編集するための人を雇う、会社化するなどのコンテンツを大きくする方向に使用するそうです。
この先余はさらにみんなと一緒に見させてもらいたい。
余のこの先が見たい方々と一緒にコンテンツ回していきたい。
それを体験してもらいながら
みんなにコンテンツを回すというのはどういうことか
未来を見るということはどういうことかエンターテインメントの先をどんどんやっていくっていうのはどういうことか。
それをエンターテイメントを実際に楽しみながらコンテンツを楽しみながら知っていってもらいたい。
そう思ったのがこのマグロナちゃんというコンテンツを始めるきっかけの全てです。
美少女キャラクター「マグロナちゃん」の進化と、コンテンツ産業を憂う作家「ukyo_rst」の成り上がりを同時にエンターテイメントコンテンツとして提供し、それを見た人たちと一緒に日本の未来を良くする方法を考えることがマグロナちゃんの壮大な理想だということです。
おじさんが美少女アイドルと化したことで影響力を得て、未来を作っていく。
このクレイジーさこそが世界に誇るべきクールジャパンではないでしょうか。
いずれ美少女アバターを着た総理大臣が誕生する未来も遠くないような気がします。
2018年、バビ肉元年は日本の未来を変える時代の転換点になるかもしれません。